CDPの定義
CDPとは?
CDP(カスタマーデータプラットフォーム:Customer Data Platform)とは、企業が持つさまざまな顧客データを収集・統合・分析し、一元的に管理するためのプラットフォームです。CDPは、オンライン・オフラインのデータを統合し、顧客ごとに詳細なプロファイルを作成できる点が特徴です。
従来のCRM(Customer Relationship Management)やDMP(Data Management Platform)と異なり、CDPは個別の顧客データを統合して長期的な顧客関係を構築することを目的としています。具体的には、ファーストパーティデータ(企業が直接収集したデータ)を活用し、1人ひとりの顧客ニーズに合わせたマーケティング施策の立案を目指します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、CDPの活用は企業の競争力を高める重要な要素となっています。特に施設を運営する企業にとっては、顧客の来館履歴や購買データを一元管理することで、パーソナライズされたサービスを提供でき、集客の向上につながります。
施設運営にCDPを導入するメリット

施設にCDPを導入するメリットには次のようなものがあります。
・顧客データの一元管理と可視化
多くの施設では、オンライン予約データ、入館履歴、購買履歴、アンケート結果など、多種多様なデータが蓄積されています。しかし、それらのデータが異なるシステムや部門に分散していると、一貫した顧客分析が難しくなります。CDPを導入することで、これらのデータを一元管理し、顧客の行動履歴をリアルタイムで可視化できます。たとえば、テーマパークでは来園者のアトラクション利用履歴や購買履歴を統合することで、次回の来園時にクーポンを提供する施策が可能になります。
・パーソナライズされたサービスの提供
CDPの導入によって、顧客ごとの詳細なプロファイルを作成し、個々の嗜好や行動パターンに基づいたサービスを提供できます。ホテルでは、宿泊履歴や過去のアンケート結果を基に、顧客の好みに合った部屋やサービスを提案可能です。また、美術館や博物館では、訪問者の過去の鑑賞履歴を基に、興味がありそうな展示情報をパーソナライズして配信できます。これにより、顧客満足度の向上やリピーターの増加が期待されます。
・マーケティング施策の最適化
CDPを活用することで、キャンペーンのターゲットをより精密に設定できるようになるため、広告費が最適化します。具体的には、サウナでは来店頻度の高い顧客に対して限定クーポンを配布し、売上向上を図れます。また、スポーツジムでは退会リスクのある顧客を分析し、特典付きの継続キャンペーンを実施できます。
・顧客ロイヤルティの向上
CDPを活用したパーソナライズされたサービスの提供により、顧客ロイヤルティを向上させることができます。フィットネスクラブでは、過去のトレーニングデータを基に最適なプランを提案し、会員のエンゲージメントを高められます。
施設への導入事例
本章では、CDPを導入して顧客管理のDXに成功した施設の事例を紹介します。
ヤマハグループ
ヤマハグループは、CDPを活用した顧客管理を行い、個別化された音楽体験を提供しています。この取り組みの一環として、2024年に「ヤマハミュージック 横浜みなとみらい」をオープンしました。この施設は、音楽と映像が融合したイマーシブな体験エリアやライブ鑑賞が可能なカフェ、楽器を自由に試奏できる体験型スペースを備えた新しい形の音楽施設です。CDPを活用することで、来場者の好みに応じた体験を提供し、音楽への興味や関心を深める場を創出しています。
また、ヤマハグループは、CDPを基盤としたマーケティング戦略を紹介する、「MA・CDPを活用したヤマハのファンマーケティング戦略」というウェビナーを2025年に開催しました。このウェビナーでは、データドリブンなアプローチによる顧客接点の強化や、音楽市場におけるデータ活用の可能性について解説し、パーソナライズされた体験を顧客に提供する施策を紹介しました。
参考:ヤマハミュージック「横浜みなとみらい |ヤマハミュージック直営店・教室」
参考:altcircle「【ウェビナー開催報告】MA・CDPを活用したヤマハのファンマーケティング戦略」
スポーツクラブ「ルネサンス」
スポーツクラブ「ルネサンス」では、株式会社DearOneが提供する行動分析ツール『Amplitude』を導入し、Webサイトと店舗のデータを統合して顧客の行動を可視化しました。これにより、Webサイトでのページ閲覧や見学予約、入会申し込みのデータを分析し、「どの段階でユーザーが離脱しているのか」「入会に至る行動の特徴は何か」「スタジオプログラムの受講が継続率向上にどのような影響を与えているか」などを明確にすることができました。
参考:ルネサンス公式サイト
参考:PR TIMES「DearOne、スポーツクラブ「ルネサンス」へ行動分析ツール『Amplitude』を導入し、LTV向上を支援」
施設運営のDXには、RESERVAが最適

RESERVAは、累計導入数30万社を誇る、予約システムシェア国内トップクラスのクラウド型予約管理システムです。業界・業種問わずあらゆるビジネスに対応しており、350種類以上の業態でRESERVAが利用されています。アカウント発行から予約システム作成完了まで最短3分で、永久無料で使えるフリープランもあるため、導入コストを低くしたい、または使用感を確かめてから導入したいといった事業者の方にもおすすめです。
RESERVAは、予約受付や顧客管理、決済、集客を一元化するシステムで、施設運営における業務負担を大幅に減らします。また、予約受付を自動化するため、顧客は24時間いつでも申し込みでき、運営側は営業時間内に電話が集中するのを防げます。
まとめ
本記事では、「CDP(カスタマーデータプラットフォーム:Customer Data Platform)」の用語解説と、その領域における施設の導入事例を紹介しました。
RESERVA fcでは、今後も施設に関する知見やDX事例を取り上げていきます。